

熱処理は、金属を高温処理するため表面状態が劣化しやすく、これを防ぐため、いろいろな雰囲気を人為的に作り、その中で加熱、冷却を行います。熱処理雰囲気を真空にすると、被処理材質、熱処理温度に関係なく、どのような場合にも適用でき、最良の表面状態が維持できます。真空熱処理の歴史は比較的新しく、装置がポイントとなります。当社の装置は、イプセン社が開発し石川島播磨重工業(lHl)がライセンス生産している、世界でも最も信頼性の高い真空炉です。
【高速ガス冷却式横型真空炉】(A)高速度鋼などの熱処理温度の高い工具鋼の無酸化、無脱炭焼入れ
(B)パーマロイ電磁軟鉄などの高透磁率材料の磁気焼きなまし
(C)高強度ステンレス鋼の無酸化焼入れ
(D)析出硬化型耐熱鋼、析出硬化型ステンレス鋼などの固溶化処理、および時効処理
(E)オーステナイト系ステンレス鋼の固溶化(安定化)


SKH-51(6W、4Cr、4Mo、2V)の焼入れ組織(1200℃)生地はおよそ75%がマルテンサイト、残り25%がオーステナイトとなっている。生地粒界面上に未溶解炭化物がみられる。
【高速度工具鋼の焼入れ組織(×800)】この種の工具鋼は、焼入れ温度が高いにもかかわらず、溶解温度が低く、焼入れのとき過熱すると粒界面が溶解して、共晶がみられるようになる。 また、炭化物は、大部分オーステナイトに固溶してしまっている。
【高速度工具鋼の過熱焼入れ組織(×800)】高速度工具鋼を1200℃で焼入れを行った後、560℃で焼戻しを施した組織で、生地はマルテンサイトに変化し、炭化物が析出している。この状態では、二次硬化して、焼入れのままより硬さは増す。
【高速度鋼の焼入れ、焼戻し組織(×800)】